"二本のジェンガ, 2011/4/22 By インク レビュー対象商品:..."

“ ヤマカンの愛称で親しまれている山本寛(やまもとゆたか)監督が「失敗すれば引退も辞さない」と覚悟を決めた作品、フラクタル。
一人の男が背水の陣で挑んでくるのだから、そこは真摯に向き合うのがアニメファンとしてのマナーと思い、全話しっかりと鑑賞させていただきました。
山本監督、長い間お疲れ様です。
まるでヤマカンさんの公開切腹のような見事な失敗作でした。

自身の全てを賭け、もしかしたらこれが最後の作品になるかもしれないのだから、そこには圧倒的なオリジナリティもしくは愚かなほどわがままで傲慢なものがあるべきです。
しかしフラクタルに映っていたのは、どこかの国のニセディズニーランドもビックリな劣化コピーのエレクトリカルパレードでした。
人物、世界観、演出、その全てが有名作品の安易なコピー。
人気作のマネをするということは大怪我をしないための保身であり、保身とは創造力を失った人間が選ぶ道です。
私は今までヤマカンさんの常軌を逸したビッグマウスの数々は自身をヒール(悪役)に設定して、そういう立場から業界を盛り上げていこうとする演出なのかなと思っていたのですが、
悪役の魅力はただ悪いやつというだけではダメで、そこには主役を凌駕する実力が不可欠です。
ヤマカンさんはクッパではなくクリボーであり、バイキンマンではなく、かびるんるんだったのです。
原案を担当された東浩紀氏も自分のアイディアがほとんど無視されたと嘆いていらっしゃいました。
ただこれに関しては東浩紀氏の著書や発言を読むかぎり、仮に東浩紀氏の原案を忠実にアニメ化してもブルワーカーの広告並みに劇的な変化を遂げられるとは到底思えないのが悲しいところです。
結局、声がデカイだけの凡人二人が凄いイリュージョンを見せてやると放送前に散々大言壮語を吐いておきながら
いざはじまってみると、そこにはジェンガのピースが二本転がってるだけで他には何もありませんでした、みたいな惨劇のような肩透かし、それがフラクタルです。

ヤマカンさんはもう十分過ぎる醜態をさらしているので、いつまでもショッカーの戦闘員みたいに奇声をあげてないで、最後くらいは潔く引退して下さい。
期待を込めて星五つ。
引退表明を撤回しても笑って許してもらえるのは同じ山ちゃんでも山崎邦正さんだけです。
そんなとこまでコピーするのはやめてあげて下さい。”

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